令和5年度版の健康経営度調査の評価結果(2466法人)をもとに、「女性特有の健康関連課題への対応、女性の健康保持・増進」を重点課題テーマとし、施策実施と効果検証を行った254法人の業種ランキングを集計しました。
サービス業・小売業で、全体の約3割を占めていることが分かります。上位5位までで、全体の50%弱を占めています。女性従業員が多い業界の関心が高いことが見て取れます。
出所:健康経営度調査をもとに筆者作成
私は新卒後、小売業界で5年ほど働いていましたので、女性特有の健康課題への対応が職場の生産性低下や人材定着に大きく影響しているであろうことは、よく分かります。月経痛や更年期の辛さにはかなり個人差がありますので、女性同士なら理解できるとは限りません。
むしろ、女性だからこそ「大げさではないか」「私は我慢して乗り切った」という気持ちを抱きやすかったり、そうした言葉で、不調を抱えている人を追い詰めたりすることもあります。
また、業界的にシフト制の勤務体系が多いため、体調不良による欠勤や早退・遅刻者が出ると代替要員の手配が必要となります。シフトに穴をあけることへの罪悪感から、つわりや更年期症状など、突発的な不調が繰り返し起きる時期に入ると、就労継続への困難を感じやすくなります。責任感のある人ほど「迷惑をかけてはいけないから」と限界まで無理を重ねがちです。その結果、突然離職することもあります。
健康経営は、福利厚生ではなく経営課題解決のための戦略です。新卒学生や保護者は、健康経営に高い関心を寄せているという調査結果もあります。人手不足は加速する一方ですから、女性特有の健康課題を踏まえた職場作りへの取り組み姿勢は、企業の生き残りを左右する要因の一つになるだろうと思います。
ちなみに、10位以下はこちら。下位は、男性が多い業界となっています。取り組みが進んでいない業界だからこそ、優秀な女性人材を確保するために戦略的に推進するというのも一つの方法です。取り組み実績は、大きな強みとなり、就活生や転職者に対する強いメッセージになるはずです。
出所:健康経営度調査をもとに筆者作成
以上、業界ランキングのご紹介でした。
次の記事では、上位3業界の課題や取り組みについて、分析した結果をご紹介したいと思います。