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適材適所と問いかけの力――大森元貴さんのリーダーシップ哲学

YouTubeで、Mrs. GREEN APPLEのドキュメンタリー映画が「組織論やリーダーシップの教材としても学びが多い作品」と紹介されているのを聞き、強く興味を持ちました。

私は普段、DVDをほとんど購入しません。ブルーレイとの違いさえ分からず、検索したほどです。

それでも今回は、作品そのものへの関心以上に、大森元貴さんがどのように人や組織を率いているのかを見てみたいと思い、購入しました。

視聴はこれからですが、紹介動画の中だけでも、大森さんのリーダーシップにはいくつもの印象的な特徴がありました。

全体を見渡し、適材適所を判断する


動画の中で、大森さんは「戦国武将のよう」と表現されていました。

楽曲や演奏だけでなく、衣装、ロゴ、演出、スタッフの配置に至るまで、ミセスという大きなプロジェクト全体を見渡し、適材適所を判断している姿が映されているそうです。音楽バンドでありながら、もはや一つの組織であり、大きなチームであり、プロジェクトでもある。その中心で判断し続ける姿は、組織のリーダーそのものだと感じました。

特に興味深かったのは、スタッフについても「この人は、ここに配置したほうがよい」と考えているという点です。

リーダーの役割は、自分がすべてをできることではありません。それぞれの人の強みや特性を見極め、力を発揮できる場所に配置することです。

大森さんは、楽曲をつくる中心人物であるだけでなく、プロジェクト全体を俯瞰し、人と役割の組み合わせを考えている。個人の才能だけではなく、チームとして最大限の力を発揮することを見据えているように感じました。

一方で、自分が「裸の王様」になってはいけないことも意識していると紹介されていました。

強い決断力を持ちながら、自分の判断が絶対にならないようにする。この両立は、リーダーにとって非常に重要であり、難しいことでもあります。

前に立つ責任を引き受ける


多くの人に届く活動には、誤解や批判、予期せぬ問題が伴います。

大森さんは、そのことを理解したうえで、自分をさらけ出して作品をつくる覚悟を語っているそうです。注目を集める存在になればなるほど、自分の意図とは異なる受け取られ方をされることも増えていきます。それでも、Mrs. GREEN APPLEという存在をきちんと知ってもらうために、自分を開いていく。

そこには、表現者としての覚悟だけではなく、責任を引き受けるリーダーの姿勢があるように思います。

問題が起きたときに、組織や周囲の誰かに任せるのではなく、自分の言葉で向き合おうとする。その姿勢は、組織の先頭に立つ人のあり方について考えさせられます。

リーダーには、成果や称賛だけでなく、誤解や批判も引き受ける覚悟が必要なのだと思います。

情熱によって、人の力を引き出す


さらに興味深かったのは、大森さんがメンバーを導く方法です。

動画では、メンバーへの関わり方として、情熱で背中を押す場面と、問いかけによって考えを深めさせる場面の両方があると紹介されていました。

ギターを演奏する若井滉斗さんのすぐ近くに立ち、全身を使って感情や熱量を伝え、演奏を引き出そうとするそうです。しかし、それは単に圧力をかけるためではなく、相手の中にある力をさらに引き出すための働きかけとして映っていたと語られていました。

また、若井さんや藤澤涼架さんに、厳しい言葉をかける場面もあるそうですが、それは相手の努力や可能性を踏まえたうえで、より良い演奏や表現につなげるための関わり方として語られていました。

厳しさは、相手の努力を知らずに発せられるものではありません。互いに努力している姿を見ているからこそ、言葉に説得力が生まれるのだと思います。

信頼関係のない厳しさは、相手を萎縮させるだけです。しかし、日頃から相手を見て、その努力や可能性を理解している人の言葉は、ときに悔しさや情熱を生み、次の行動につながります。

問いかけによって、内省を促す


情熱的に導く一方で、大森さんは、答えをすぐに与えず、問いかけによってメンバーに考えさせる関わりもしているようです。

紹介動画で印象的だったのが、ライブ後に若井さんと藤澤さんへ、「肩の力が抜けているのと、気が抜けているのは何が違うのか」と問いかけたというエピソードです。

大森さんには、二人に伝えたい改善点があったようです。しかし、最初から答えや評価を伝えるのではなく、まず本人たちに考えさせています。

これは、単なるダメ出しとは異なります。

リーダーが答えを与えれば、その場では早く修正できるかもしれません。しかし、それだけでは本人が自分で状態を捉え、次に応用する力は育ちにくくなります。問いを投げかけることで、本人が自分の感覚を振り返り、言葉にし、違いに気づいていく。

これは、キャリア支援や人材育成にも通じる関わり方です。

人は、誰かから言われた答えよりも、自分で考え、自分で言葉にした答えのほうを深く理解し、行動につなげやすいものです。

大森さんは、情熱によって相手を動かすことと、問いによって相手の内側から答えを引き出すことを、状況に応じて使い分けているように感じます。

一緒につくる感覚を大切にする


楽曲の多くを大森さんが生み出しているにもかかわらず、メンバーと「一緒につくっている感覚」を大切にしているというエピソードも印象に残りました。

新曲について、若井さんと藤澤さんにタイトルを当てる“謎なぞ”を出すことがあるそうです。

一見すると、遊びのようなやりとりです。しかし、その背景には、自分だけの作品として完成させるのではなく、二人にも創作のプロセスに参加してもらいたいという思いがあるのではないでしょうか。

リーダーが強い才能や決定権を持つ組織では、周囲が受け身になりやすくなります。だからこそ、メンバーが自分も関わっている、自分たちの作品である、と感じられる機会を意識的につくることが大切です。

大森さんは、中心に立ちながらも、すべてを自分一人のものにしない。メンバーの参加感や当事者意識を大切にしているのかもしれません。

リーダーは、相手に応じて関わり方を変える


紹介動画から見えてきたのは、大森さんが一つの方法だけで人を率いているのではないということです。

  • あるときは、強い情熱と近い距離で相手を鼓舞する。
  • あるときは、厳しい言葉によって、もう一段高い水準を求める。
  • またあるときは、問いを投げかけ、本人が自分で考える時間をつくる。
  • 遊びや対話を通して、一緒につくる感覚を育てていく。

どの方法が正しいということではなく、相手や状況、その瞬間に必要なものを見極めているのでしょう。

リーダーシップとは、強く引っ張ることだけではありません。相手を観察し、その人が力を発揮するためには、今どのような関わりが必要なのかを考え続けることでもあります。

大森さんのリーダーシップには、圧倒的な創造力や決断力だけでなく、人をよく見る力があるのではないかと思います。

視聴前から受け取った問い


私はまだ本編を視聴していません。
それでも、紹介動画を見ただけで、いくつもの問いが生まれました。

  • リーダーとは何か。
  • チームとは何か。
  • 厳しさと信頼は、どう両立するのか。
  • 答えを教えることと、問いによって考えさせることを、どのように使い分けるのか。
  • 強いリーダーが中心にいながら、メンバーの主体性を失わせないためには何が必要なのか。

リーダーシップとは、肩書や立場ではなく、人の力をどのように信じ、引き出し、組織として結びつけるかという実践なのかもしれません。

DVDはこれから視聴します。

音楽ドキュメンタリーとして楽しむのはもちろんですが、今回はそれ以上に、組織論やリーダーシップ、そして人が人を育てる関係性という視点から見てみたいと思っています。

視聴後には、実際にどんな場面に心が動いたのか、どんな学びがあったのかを、あらためて書いてみます。

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