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女性の健康と働く環境の未来──フェムテック実証事業報告会から見えた可能性

3月26日、経済産業省が主導する「令和6年度フェムテック等サポートサービス実証事業」の最終報告会をオンライン視聴しました。この事業は、フェムテックの活用を通して女性の就業継続を支援し、人材の多様性を高めることで、中長期的な企業価値の向上を図ることを目的としたものです。

令和6年度は13社が採択され、それぞれ独自の切り口で実証が行われました。

また、更年期の睡眠課題(不眠・中途覚醒など)解決ソリューション事業で、参加者の35%に睡眠課題や働き方の改善が見られ、当事者だけでなく企業にとっても有用性を確認できたという報告も印象的でした。

上記事業は、年代や性別を問わず、睡眠障害を抱える従業員に提供可能なので、「女性だけが対象の施策は、社内で推進しにくい」という懸念をお持ちの企業にとっては導入しやすそうだな感じました。

そして、衝撃を受けたのは、下記報告の中で、医師全体の0.2%程度(1300名)という具体的な数字を知ったことです。更年期障害に深い知見を持つ医師が少ないことは知っていましたが、想定外の少なさでした・・・。

その背景にある事情を、医師と医療従事者のコラボ診療という方法で解決し、スマホで専門医の診察と処方(漢方薬等)を受けられるオンライン診療の実証事業では、コラボ診察でも満足度や症状軽減を実感した人の割合は、さほど変わらないとの成果が報告されており、今後の展開に期待が高まりました。

今回の実証事業者には、フェムテックサービス利用前後で「プレゼンティーズム」や「キャリアに関する考え方」「意識や行動」の変化を測る、共通の評価指標が与えられています。

後日発表された共通指標の結果は、以下です。

これは「女性の健康課題は個人の問題ではなく、職場全体で支えるべきテーマである」というメッセージが強く伝わってくる結果だと思います。働きながらライフイベントを迎える女性が増える中で、企業や社会がどのように受け止め、伴走できるかは、未来の働き方の質を左右する重要な視点の1つです。

フェムテックを導入することは、単なる“やさしさ”ではなく、“経営戦略”である。そう実感できるような取り組みと成果に、希望と可能性を感じた報告会でした。

参考資料
経済産業省 令和6年度「フェムテック等サポートサービス実証事業」最終報告書

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