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支えられている”実感が、職場を変える ― POSと健康経営のこれから

「健康経営」はすでに多くの企業で取り組まれていますが、その“次の一手”をどう描くか。そんな問いを投げかけてくれたのが、先日受講したオンラインセミナー「未来を築く、健康経営 ― これから10年先の健康経営を考える」でした。

特に印象に残ったのは、産業医科大学の森 晃爾教授の講演「成果が上がる健康経営のエビデンス」です。その中で協調されていたのが、POS(Perceived Organizational Support:組織的支援認知)の重要性でした。

POSが鍵を握る、成果を生む健康経営の道筋

産業医科大学の森 晃爾教授は、健康経営の成功には従業員が「組織に支えられている」と感じるPOSの向上が不可欠であると強調されました。​

POSを高める要因として、公正性、上司からの支援、適切な報酬や労働条件が挙げられました。​これらにより、従業員の組織へのコミットメントやワークエンゲージメントが向上し、ストレスや離職意向の低下につながるとされています。​

また、経営トップのウェルビーイングへの関心と、それを体現する組織風土の醸成が、POSを高める土台となると述べられました。​

従業員の健康への投資成果を最大化するには、制度やプログラムだけでなく、従業員が(特に管理職が)「支えられている」という実感を育むことが重要である、という研究結果に基づいたお話は、非常に説得力がありました。

制度“だけ”では届かない。支援の“実感”をどう育てるか

私がキャリア支援の現場で感じるのも、まさにこの“実感”の差です。たとえ制度が整っていても、それが届いていないと感じることが少なくありません。逆に、「見守ってくれている」「困ったときに相談できる」という感覚があるだけで、人は自ら動けるようになります。

POSは、健康経営の“見えにくいけれど、最も大切な部分”を支える視点。

これからの10年、健康経営が次に目指すのは、支援の制度化から支援の風土化。
そのカギを握るのがPOSだという視点は、私たち支援者にも大きな示唆を与えてくれます。

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