ブログ

40代から始める「手放す力」—『人生後半の戦略書』を読んで考えたこと

最近読んだ一冊、『人生後半の戦略書―ハーバード大教授が教える人生とキャリアを再構築する方法』。キャリア支援に関わる者として、そして自分自身がその「後半」にさしかかっている人間として、胸に響く内容でした。

本書が教えてくれたのは、「肩書や役割を脱いだあと、自分をどう生きるか」という視点です。社会の中で担ってきた役割を一度手放し、「私」という存在そのものに立ち返る。

キャリアの途中では考える余裕のなかった問いに、ようやく向き合えるのが人生後半なのだと感じました。

仕事中心の生き方をし、成功に執着して、人生の“降り方”を見失っている男性にとっては、「成功の陰で失ってきたものを知り、これから大切にすべきものに目を向ける必要がある」ことに気づき、考えさせられる一冊だと思います。

私自身も、少しずつ「仕事以外の時間の使い方」を変えてきました。家庭と仕事の両立だけで手いっぱいでしたが、ファミリーサポートのサポーター側として、近所のお子様を預かったり、前から気になっていた着物の着付けを習い始めたり…。これまでの“仕事と家族中心の働き方”では見落としていた豊かさです。

40〜50代でのキャリア研修においても、「変化や衰えを拒否して頑張って働くこと」「若い頃のように、足し算していく人生を続けること」でなく、「どう生きることが幸せにつながるのか」「どう働き方を変えていくか」という視点へと切り替えるきっかけを得て頂くことを大切にしたいと考えています。

仕事とは別の場で新たな役割を持つこと。それは、同じ趣味を持つ仲間達との交流であったり、以前から興味のあったことを学ぶことであったり、あるいは地域とのささやかなつながりかもしれません。そうした関わりの中に、自分の新しい居場所や意味が立ち上がってくるのだと思います。

40〜50代は、これからの人生をどう編んでいくかを考える、大切な転換期。

この本は、キャリアという言葉を「役職」や「成果」「成功」だけで捉えがちな人にこそ読んでほしい一冊。特に、仕事中心の生活・人間関係を築いてきた男性にとっては、必読です。

人生後半の“静かな戦略”を立てるヒントが詰まっています。

PAGE TOP
PAGE TOP