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プレコンセプションケア5か年計画が示す、“今を見つめる”キャリア支援のあり方

2025年5月、こども家庭庁は「プレコンセプションケア推進5か年計画」を策定しました。これは、性や健康に関する正しい知識の普及と相談支援体制の整備を通じて、すべての人が自分らしいライフデザインを描ける社会をめざす取り組みです。

プレコンセプションケアとは、妊妊娠を希望するかどうかや性別を問わず、適切な時期に性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めた将来の健康や人生設計を見据えて健康管理を行うことを指します。もともとは母子保健の視点から始まったこの概念が、今ではキャリア支援や健康経営の文脈にも広がりを見せています。

これまで私は、大学生のキャリア支援に20年以上、社会人女性の支援にも10年以上携わってきました。その中でたびたび感じてきたのが、「知識がないことで、本来描けたはずの選択肢を見逃してしまう」場面です。

就職活動のなかで将来の働き方を考えるとき、あるいは社会に出てから出産や治療と仕事の両立に直面したとき、もっと早く知っていたら……と思う声を多く聞いてきました。

ある30代後半の女性は「若い頃はキャリアを優先してきたので、妊娠は“いつかそのうち”と思っていた」と語ってくれました。昇進や転職を重ねるなかで妊娠のタイミングを逃し、不妊治療を始めたものの、仕事との両立が難しくなり、離職を選ばざるを得なかったそうです。「自分の体のことをもっと早く知っていたら、違う選択肢も持てたかもしれない」と振り返るその言葉には、複雑な想いがにじんでいました。

また別の女性は、「月経痛は我慢するものだと思っていた」「仕事が忙しくて病院に行けず、気づいたら治療が必要な状態だった」と話してくださいました。

大学生のキャリア支援の現場では、「生理痛が重く、もし面接と重なったら普段の力を発揮できなくなる」と就活相談の中で不安を口にする女子学生にも出会いました。将来設計の中で「いつかの家庭」や「働き方の変化」に不安を感じながらも、具体的な情報に触れる機会が少ないという声も多く聞かれます。

「自分の体と向き合うことが、こんなにキャリアとつながっているとは思わなかった」——そんな気づきに出会うたび、早い段階での情報提供の重要性を実感します。

だからこそ今、プレコンセプションケアの視点をキャリア支援に組み込むことは、若い世代や働く女性にとって非常に価値のある取り組みだと感じています。

5か年計画では、企業や教育機関における「プレコンサポーター」の育成や、研修・相談体制の整備、信頼できる情報発信の強化が重点項目として掲げられています。
必要なタイミングで、信頼できる形で情報を届けること。それが、将来の選択肢を広げ、働くこと・生きることの安心にもつながっていくのではないでしょうか。

出所:【こども家庭庁】プレコンセプションケア推進5か年計画(概要)

弊社では、こうした社会的動向を受け、以下のようなプログラムをご提供しています。

健康課題に配慮したキャリア支援は、もはや“特別な取り組み”ではありません。プレコンセプションケアの視点を取り入れることは、従業員・学生一人ひとりの将来の安心を支え、組織の信頼やエンゲージメントの向上にもつながります。

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